入管業務
2020年6月末の在留外国人数は約290万人と、日本の人口の2%が外国人籍となりました。
今後さらに外国人財の需要増加が見込まれてきますので採用担当者様はご参照ください。

【目次】
在留資格とは
「在留資格」とは、外国人が合法的に滞在しつつ、それぞれの資格ごとに活動することのできる範囲を示したものです。2021年4月現在、29種類の在留資格があります。
在留資格は「ビザ」と呼ばれることが多いですが、「在留資格」と「ビザ」は別物なので注意してください。
在留資格は、当該外国人(以下「申請人」という)の日本での活動内容や身分(配偶者・子どもなど)によって割り当てられています。そのため、「申請人の日本での活動内容に合致する在留資格はどれか?」ということを常に考えておかなければなりません。
一度、在留資格を得た外国人も、その後の日本での活動内容に変更があった場合は速やかに「在留資格変更許可申請」を行い、活動内容に合致した在留資格への変更が必要になります。
□ 在留資格変更のイメージ
学生
卒業・就職
調理師
レストラン
経営者
独立・開業
入国・入学
日本永住を決意
活動内容
在留資格
留学
技能
経営・管理
永住者
資格変更
資格変更
資格変更
在留許可申請の種類
在留許可に関する申請には、初めて外国から日本に入国する場合にする「在留資格認定証明書交付申請」以外にも以下のような許可申請があります。
□ 在留資格変更許可申請
□ 在留期間更新許可申請
□ 永住許可申請
□ 資格外活動許可申請
□ 再入国許可申請
□ 在留資格取得許可申請
□ 就労資格証明書交付申請
在留資格取得の要件
行政書士が企業の採用担当者様からよく依頼を受ける「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)の場合を例に以下に記述していきます。
※その他の就労ビザの要件については、入管法を参照ください。
① 申請人の日本における活動が在留資格に定められた活動に該当すること(在留資格該当性)
「技人国」は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他自然科学の分野に属する技術若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」に従事するための在留資格です。
(入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動)
まず、「本法の公私の機関」との「契約」に基づいていることが必要です。
そのため、個人事業主や外国所在の会社に雇われて就労することはできません。
また、「契約」とだけ記載されていることから「常勤非常勤の別」や雇用形態の
縛りはないと言えます。しかし、実務上は長期間の常勤雇用契約で就労する場合の方が在留資格が認められやすいです。
そして、「技人国」の在留資格はホワイトカラー労働でないと許可されません。
例えば、工場での単純な製造作業や店舗でのレジ打ち業務、建設現場での肉体労働、これら全て「技人国」ビザが許可されません!
雇用する予定の外国人の方がどのような業務に就くのかをしっかりと考えた上で在留資格申請を行わなければ不許可になるので注意してください!
② 申請人が基準省令における在留資格ごとに定められた基準に適合すること(基準適合性)
申請人が次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和 六十一年法律第六十六号)第五十八条の二に規定する国際仲裁事件の手続についての代理に係る業務に従事しようとする場 合は、この限りでない。
一 申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する 技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又 は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもっ て定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該 技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。
三 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
法別表第一の二の表の技術・人文 知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動
上記が在留資格「技人国」の基準適合性で、こちらを満たす必要があります。
「関連する科目を専攻して」とあるように、大学等での専攻科目と従事する予定の職務との関連性がとても大切になります。
例えば、大学で法律学を学んでいた外国人が海外取引における契約書の作成を行う場合は許可が下りると考えられますが、この外国人がSEとして働く場合は関連性が認められず不許可になります。
しかし、「彼彼女をどうしてもSEとして採用したい!」という想いがある場合は専門家(弁護士・行政書士)に依頼してみると良いかもしれません。
基準適合性を判断する際に実務経験で判断する場合は注意が必要です。
というのも10年間の職歴を過去の勤務先発行の在職証明書で立証する必要があるからです。
さらに、近年は入管側もかなり審査が厳格化されており、在職証明書に加えて外国での勤務先に直接電話で問い合わせをしたりするケースもあります。そこで、昔いた職場の同僚からニックネームで呼ばれていたりする場合は、在職していたのに在職していなかったものとして取り扱われることもあるのです。
そのため、実務経験で判断する場合は特に専門家に依頼されることをお勧めします。
③ 提出資料により①・②を立証すること
入国在留に関する手続きの審査は、原則として書面審査であり、実際は「在留資格該当性」も「基準適合性」も満たしていたとしても、それらを提出する資料によって立証しなければ在留資格は不許可になります。
また、法務省が公開しているリストに載っている書類を作成して、それを提出するだけでは在留資格は不許可になりやすいのです。
つまり、申請人ひとり一人の状況やバックグラウンドに合わせた独自の提出資料を用意し(時にはこれが原因で不許可になることもある)、立証していかなければならないのです。
これを外国人を雇用予定の企業の人事部の方が実際行うとなれば、かなりの負担になるのです。
このように、①と②を提出書類で立証するという作業はかなり難しいのです。
書類を集められるだけ集めたとしても、関連性がなければ不許可になるのです。
また、入管で働かれている職員の方々も「人」ですから、あまりに膨大な量の資料を添付されても見落としたりすることも時にはあるのです。
そのため、事案に即した適正かつ正確な資料の提出を心がけましょう!
④ 犯罪歴・税金滞納・社保の未払いなど特別な問題がないこと
「在留資格該当性」や「基準適合性」の両要件を提出資料で立証できたとしても、申請人である外国人に重大な犯罪歴や税金の滞納、社保への未加入若しくは未払いなどがあれば在留資格は許可されません。
犯罪歴に関して「入管法第5条第1項4号」で、「1年以上の禁固・懲役刑」に処されたことがある者は判決確定から永久に上陸拒否事由に該当するのです。
しかし、彼ら彼女らが更生して日本での就労を望む場合もあるのです。
そのような場合は信頼できる弁護士・行政書士の先生にお願いすることをお勧めします。
また、申請人には何らの問題がない場合であっても受入先の企業が経営難に陥っていたり、そもそも外国人を採用する必要性が認められない場合も在留資格は不許可になります。
そのため、受入先の企業が債務超過の場合などは、決算書だけではなく事業計画書を作成することをお勧めします。その事業過程の中で、どのように申請人が職務に就くのかなどのついても詳細に書くことができれば説得力が増すと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
入管業務では様々なことに注意しなければならないことがあります。
本件では「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に関する要件でしたが、在留資格が変われば申請内容なども変わってきたりします。
万が一、外国人が不法就労をしていた場合は雇用主様も「不法就労助長罪」に科せられ厳しい処罰の対象になります。
そうした労力・リスクがあるため多くの企業様は弁護士や行政書士に依頼されております。
アフターコロナではさらに新規入国の外国人財の増加が予想されますので、お早めの対策をこうじていきましょう。
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